【ウインターカップ2018 コラム】大観衆を魅了、「大当たりの富永」vs「福岡第一の鬼プレス」

バスケットボール

後半、厳しいマークに苦しめられた富永

緑の嵐が、桜のエースを封じ込めた。ウインターカップ2018第71回全国高校バスケットボール選手権大会は28日に男子の準決勝を行い、第1試合は福岡第一(福岡)が103-72で桜丘(愛知)を下して2年ぶりの決勝進出を決めた。

試合の見どころは、桜丘のエースである富永啓生(3年)を、福岡第一がいかにして止めるかという点にあった。富永は、U-18日本代表のエースで、世代屈指のシューターだ。準々決勝までの4試合すべてで35点以上をマークし、得点能力の高さを見せつけていた。そして、福岡第一戦も前半は驚異的なパフォーマンスを見せた。第1ピリオドでいきなり3ポイントを4発。第2ピリオドにも3発。合計7本の3ポイントを含む31得点を稼ぎ出した。福岡第一は、古橋正義(3年)が徹底マークについたが、第2ピリオド序盤で2ファウル。代わって小川麻斗(2年)がマークにつき、チームとして他者がカバーに入るヘルプディフェンスも行ったが、いずれも止めきれなかった。

古橋は、県予選決勝でも福岡大大濠の得点源である横地聖真(2年)のマークを任されたエースキラー。ディフェンスが売りの福岡第一の中でも最も守備力に定評のある選手だ。古橋は、富永に入って来るパスや、打たれるシュートに対し、長い腕を伸ばしてコースに制限をかけ、さらに「富永選手は左利き。右へのドリブルを多くさせるというアドバイスを受けていた。スクリーンを使われて振り切られる場面も、こっちのセンターが出て(代わりにマークに付くようにけん制して)僕がマークに戻ったら、元に戻るようにと話をしていた」と話した通り、戦術的な守備を展開したが、それでも富永は止まらなかった。

第1ピリオドの終わりには、古橋のマークをドリブルでかわし、小川がヘルプに入ろうとした瞬間にタフショットの3ポイントをたたき込んで見せた。富永がシュートを打たずにパスをするだけで福岡第一の応援団は盛り上がり、富永が厳しいマークをわずかにかわして3ポイントを決め、胸をたたいたり、踊ってみせたりする度に、会場はどよめきの音を強め、悲鳴も混じった。かなり遠い距離からも見事にシュートを沈めた富永が主役の前半となった。古橋も富永に対しては、脱帽。「富永選手のマークで頭がいっぱい。ほかのことは、あまり考えられなかった。やっぱり、上手い。ディフェンスを頑張っているときに、難しいシュートを決められると『うわっ、やばいな』と思うし、やられたらダメなんだけど、ちょっと笑ってしまう」と苦笑いだった。チームとしても、富永のマークに人が集まり過ぎると、富永がジャンプシュートのモーションからパスを繰り出し、ガードの藤田龍之介(3年)が3ポイントを決めてくるという状況で、歯止めが効かなかった。

福岡第一の主将を務める松崎裕樹(3年)は「富永に30~40点取られるのは、想定内。ほかを抑えようというプランだった。でも、前半だけで31点は想定外でちょっと焦った。ハーフタイムに『31点も取られているぞ、意地見せろ。気持ちよく投げられ過ぎだ』と喝を入れた」と脅威を感じていたことを明かした。

しかし、前半のスコアは桜丘の48に対し、福岡第一が46。今大会で初めて、福岡第一がリードを許す展開ではあったが、点差はつかなかった。富永のマークでは活躍し切れなかった古橋が攻撃では意地を見せて3本の3ポイントを決め返すなど、連続得点を許さなかったためだ。桜丘は、富永のシュート力という武器を相手ののど元に付きつけたが、致命傷を与えることはできなかったのだ。第2ピリオドの終わり際、富永に3ポイントを決められて43-48となったが、福岡第一はファウルトラブルに陥った古橋の代わりに投入された神田壮一郎(2年)がブザービーターで入れ替えした3ポイントは、松崎が「あれが一番大きかった」と称えた一撃だった。

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